隅っこの部屋

この夏見に行った展覧会など2 (ルノワール展)

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場所は国立新美術館。
普通に考えれば混んでいた方だと思う。
ただ、若冲展を見た後だと、ぎりぎり許容範囲内と言えるくらいの混み具合だった。
感覚がおかしくなっているかもしれない。


ルノワールは保険会社のカレンダーで毎年扱われていたり
TVなどで目にする機会もあり、慣れすぎて(?)特に好きという事もなかったけれど、気にはなっていたのだ。
生で何度も見たわけでもないものを見飽きたようにとらえるもどうかという思いもあり、
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が初来日という売り文句に多少釣られもしたが
それよりも行ってみようと思わせたのは、以前見た2作品によるところが大きい。

以前上野で行われたプーシキン美術館展で、入り口の最初の所で迎えてくれたのがルノアール2点だった。
そこそこの大きさでいきなり最上級の輝くような美しさで、
「生で見るルノワールってこんなに奇麗なんだ!?」というのがその日の感想の半分くらいだった。
この体験はウフィッツィで見たヴィーナスの誕生以来の「生で見た美しさの衝撃」と勝手に名付けている。

その時の絵は両方縦長だったので、明らかに今回の売りのムーラン・ド・ラ・ギャレットとは
違うものなのだが、私はずっと「ムーラン・ド・ラ・ギャレットはあの時に見た絵」と思っていたので、
初来日と聞いて首をかしげてしまったのだ。
図録もリストも持っていなかったので、あの日に見た絵が何だったのか謎のままだったのだが
この機会に本気で調べ直したところ、2005年の上野、プーシキン美術館展で見たのは
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」と「黒い服の娘たち」だったようだ。
題名の一部分しか覚えていなかったのでやはり別物だった。

さて、今回のルノワール展について。

出だしは(私の中では)低調。肖像画が続くのを見ていくと、
時々「いい顔」「いい絵」と思うものが混じる。
これはその対象がそもそも魅力ある人だったのか、それともルノワールがその人をモデルとして
気に入って、手に心がこもるからいい絵になるのかどちらだろう。
ヴァロットン以来、肖像や似顔絵でいい顔を見るとつい心の込め方について考えてしまう。
12番の「ジョルジュ・シャルパンティエ」が目を引き付けた。

順路通りに見て行くと、やがて風景が現れてくる。
水を描くのが苦手なのか、それとも初期には絵の対象として興味がないのか?
川の絵の感想は「なんか変」。
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この調子でしばらく行くのかと思い始めたころ、18、21あたりから急に面白くなってきた。
特に21の「草原の坂道」は、ちょっと気になる絵という感じで振り返りながら通り過ぎたものの
再び戻って見るうちに人物の向こうの道に引き込まれるような感覚になってきた。
小さく描かれた人物が絵の中でちょっと浮いている感じも面白い。
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有名な絵をこの目で見た、と、後で言えるような絵も現れ始める。
25「ぶらんこ」では特に、自分の中でも絵を描く時に情緒とか
空気感を呼び起こすパーツとして意識する、"影の中の明るい部分"の表現として
「女性の右手の袖の部分の白がイイ」と思い、
その部分にばかり目が行ってしまった。
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27「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は一番の人だかり。
少し離れて立ち止まって眺めるスペースと、ちょっと並んでゆっくり近くを歩いて
通り過ぎるコースに分かれている。
最初に少し離れて見るスペースで見た後、2回ほど近くを歩いて鑑賞した。
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私の中では当然ながら、この作品にこそブーシキン美術館展の時のような感動を求めていた。
感動とは立ち会う前に求めるものではないとは承知の上だが、そうは言っても
期待しないのは難しいのだ。
だから、求めすぎたせいでなかなか大感激というわけにはいかなかったのは仕方がない。
それでも、近くを歩いて鑑賞した時にはこの場から左奥に世界が繋がっているような
感覚になり、もっとここに立ち止まって見ていたいと思った。
条件のいい状態で好きな距離からゆっくり楽しめたら本当にいい絵なんだろうと思う。
絵には確かに鑑賞するのに最適な距離というものがあるのだ。この絵は2mくらいの
距離から見るのがいい。

63「母性 あるいは 乳飲み子(ルノワール夫人と息子ピエール)
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この絵の題名は「母性」または「乳飲み子」という事でいいのだろうか。
画家が名付けた題名が無いのかな。
フェルメールの青いターバンの少女または真珠の耳飾りの少女、みたいなものか。
発表する作品として、というより幸せな時間を書き留めたかったかのよう、という感想。
69「ガブリエルとジャン」も同様。

65「ジュリー・マネ あるいは 猫を抱く子ども」は肖像ではあるけれど子供の時間の
瞬く間に過ぎ去る事を思うと、これも今この時のいとしい時間を留めたくて
描いたような作品に見えてくる。描かれた少女にとっても、生涯手放さなかったと
いうのだから、愛情が確かにこもった作品がまさにいい絵になるのは確かなようだ。
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68「幼少期のフェルナン・アルファン」
なんてお肌がつやつやの美しい少年、と思ったが、近付いてみると少し疲れて見える。
ハイビジョンでアップにされる芸能人を思う。お肌の艶って大事。
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花の絵のコーナーに入る所の解説で、絵の実験場としても、描いている間頭が休まる意味でも
重要なモチーフであるというような事が書いてあったが、
私が木を描く時の感覚に非常に近くて共感できる。
これほど人物を中心に描いた人でも人以外を描く事に安らぎを求めるのかという驚きがあった。



102「浴女たち」
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最晩年に描かれたこの絵はルノワールを紹介する番組では必ずと言っていいほど
取り上げられる。
正直、あまりの体格の崩れや赤みを帯びた色が目に付き、好きではなかった。
この絵を見て、心の中であるいは口に出して「三段腹」「四段腹」と言わずにいられた人が
どれだけいるだろう。
だから、この絵を前にここまで見入るとは思わなかったのだ。「好き」になったかどうかは
今でも分からないが、少なくとも「すごい」と思い、強く印象に残り、長い間
立ち止まらずにいられなかった事は確かだ。
まず「こんなに大きい絵だったんだ」と思った。もう人の形がどうこうじゃない、
エネルギーの塊のようで、輝く肌が迫ってくる感じ。
その肌の色が一番乗って反射するのが太ももでだから太ももを一番描きたかったのではと思ってしまう。
動かない手で最晩年にたどり着いたのがここ、というドラマ性を除いても存在感のある絵だった。



今回、特にお気に入りのこの一枚、というのがあったわけではないが、何点かは心に残り
見る前よりは何かが分かったような気がするし、見に来てよかったと思った。
いい鑑賞の一日だった。


  1. 2016/09/20(火) 17:54:29|
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この夏見に行った展覧会など1(魔法の美術館/光と影のイリュージョン)

こまめな更新ができなかったので一気に振り返る。

光の造形を楽しむ一日:

8月6日「魔法の美術館/光と影のイリュージョン」を見に、新宿損保ジャパン日本興亜美術館へ。
TVで紹介されていた時には、体感するアートを親子連れが楽しむ映像が紹介されていたので
アトラクションのイメージを持って行ったが、思ったよりも子供の姿は少なかった。
人の入りも一つ一つをじっくり楽しむのにちょうどいい感じ。
動きが反映されるはずの作品で、ほとんど反応が無いものもあったのが残念な所だが
全体としてはなかなか楽しめた。
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・インスタレーションとして素敵だったのは一番最初の「Lifelog_シャンデリア」
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昔からこのタイプの影をうまく利用した作品は好きなので、長く見ていたいと思わせる
心地よさがあった。木漏れ日を思わせるような作品なので、どうせならばサワサワと
揺れるような音の中で見られればよかったが、扇風機の機械的な音だけが響いていたのは
仕方がないところか。
途中で風に浮かんで周る羽根車が枠から飛び出して落ちたのを、会場の係員さんが戻して
浮かせるところを目撃できたのは幸運だった。手を離れて浮き回り出した瞬間、思わず拍手。

体感する作品という性質上ポーズを取りたくなる作品が多い。
・「色のある夢」
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・「レイヨーグラフィイー」
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・「光の波紋」
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手をかざすと光が広がり、セミの鳴き声のような音も響く
この前に立つと自然とパントマイムのような動きになる。
自分でやるよりも友人が動く所を見ている方が心地いい。
実際にマイマーや舞踊をする方を連れてきて鑑賞できたらさぞ心地よかろう。

・「Immersive Shadow」
自分の影がスクリーンの中で風船のように浮かぶボールをはじく事ができる。
この男の子は一つ一つの作品に本当に食いつき堪能していて、
一緒にこの空間にいるだけでこちらも楽しくなってしまった。この作品は特にお気に入りの様子。
かわいらしい動きで実際以上に作品を楽しいものにしていたように思う。
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・「Delay Mirror」写真無し。自分の映像が二つ、一方は少し遅れて反応する。
一瞬ピンクレディーを踊りたくなったが、ズレるから無理かと思ってやめたが、
"サウスポー"の前奏出だし部分(二人重なって立ったり座ったりする)ならすごく
うまく行ったのではと後で気付いた。惜しい事をした。誰か試した人はいないのだろうか?

・「Danceing Mirror」音楽に合わせて自分の映像がポップな動きで巻き戻ったり進んだりする。
この日の一番のお気に入りで、ちょっと動いただけでダンスを踊った気分になれる。楽しい。

・「Time Scanner」題名が秀逸。ここでもこの子が楽しそうに動いてくれた。
やはり作品と共演する魅力的な何者かの存在は大きい。
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たっぷり光と影を楽しんだところで、夜には地元の花火を見に行く。


手ぶれが高じて芸術写真のようになったのでいっそその方向で。
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この日目立ったのが青い花火。地味だけれど印象に残る。写真に撮ると星団のよう。
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一日付き合ってくれた中学時代からの古い友人に感謝。












  1. 2016/09/13(火) 13:49:24|
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